内部留保の医療・介護への還流
今回の介護報酬改定では、特養に厳しい措置が取られた。
それは内部留保があるからというのが、理由のひとつに挙げられている。
しかし、設立してからの年数の差によって、内部留保は一律ではない。
ずいぶん乱暴な措置をしたものである。
いま何かと話題の保険薬局チェーンはどうだろう。
上場会社ともなれば相応の内部留保はあるだろう。
新店を開設することで自転車操業をしているところもないわけではないが・・。
3月12日の規制改革会議では医薬分業を取り上げるという。
病院の敷地内や、建物内への保険薬局の出店を認めるという方向に向かうというのが前報道で流れている。
これをどう考えるかだが、これでは院内調剤と同じだとかそういう次元の話ではないと思う。
今後、病床機能報告制度の結果を見て、さらにDPCやレセプトのNDBデータ分析なども参考にしながら地域医療構想が作られ、病院は大幅な機能の転換や再編、統合を迫られるようになるだろう。
第4次医療法改正では構造設備を基準に機能分化を推進したが、こんどは実際に行っている医療機能をベースにさらに機能分化を細分化し、人口動態に応じた病床スケールに再編していくことになる。
そうなると、公的病院等を軸とした統廃合で、新病院に建て替えというケースも出てくるだろう。そのときに、今回の薬局の規制緩和が利いてくるのではないか。
つまり病院の土地(公有地も含め)を割譲し、薬局を作る。もしくはテナントに入るための入札をする。これによって起こるのは、これまで恵まれた調剤報酬で積み上げられた薬局企業の内部留保の医療への還流である。
株式会社であるから、配当や医療以外への投資も可能だが、今回の措置が決まればその留保金は病院や自治体に還流し、地域医療に役立てられることになる。
保険薬局の「財産」(もとは多くが税金)が、公共財として病院の建物や人員、設備の充実に使われるのだ。
今回の医薬分業の規制改革の報道を見て感じたのが、「内部留保」(薬局や特養)の医療・介護への還流を目指した共通した施策であるという点である。
在宅専門の診療所の認可と在宅患者の状態別評価のゆくえ
去る2月18日、中医協総会が開催された。
傍聴もせずに論じるのはどうかと思うが、資料を読み、その後の報道を受けてコメントしたい。
注目したのは在宅医療についてだ。
当日の在宅医療に関する資料。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000074433.pdf
論点は2つで、ひとつは外来機能を有しない在宅専門の診療所を認めるかどうか。もうひとつは在宅患者の状態の差が大きいことをどう評価するか、である。
前者については、今回の介護報酬改定で在宅から地域での生活の場に復帰させることをリハビリの目標に方向転換したように、在宅と地域、在宅と外来を行き来することを求めてきている。これは地域包括ケアの概念とも一致している。
ということは「かかりつけ医」を標榜する以上、在宅、外来の双方の機能を併せ持つことが必要とされるのではないだろうか。
後者の在宅患者の状態別評価だが、これは行うべきであろう。DPCにおいても重症度評価を行うため、CCPマトリックスの導入が検討されている。急性期病床においては医療・看護必要度が導入されている。療養病床では医療区分、ADL区分によるマトリックス評価が早期に導入されている。
こうして考えると、在宅のみ患者の状態像を反映しない一律評価であることが、実体を反映していないように思えてくる。
在宅医療の方向性については、今後も中医協での審議内容に注目していきたい。
地域医療構想策定ガイドラインに関する検討会
2月12日に検討会が開かれ、様々な資料が公開されています。
地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会審議会資料 |厚生労働省
「地域医療ビジョン」でなく「地域医療構想」が正式名称になってきていますね。
病床の機能分化においては、DPCやNDBデータを活用するというのは既定路線。
診療報酬との擦り合わせも徐々に行っていくのでしょうね。
回復期は、回復期リハ1と2,3を区分、地域包括ケア病棟と統合でしょうか。
療養病床については介護型を最終的にどう位置づけていくのか・・。
病棟単位で病床利用率が明らかになって来、地域医療連携推進法人も制度化され、法人間(病院間)でベッド数のやりとりができるようになると、グループの病院間での機能分化と連携が完結していくところも出てくるでしょう。
地域医療の変化がめまぐるしくなりますね。
2016年度調剤報酬改定にも影響か?
2月10日付け朝日新聞朝刊1面トップ記事。
薬のカルテ17万件未記載 調剤薬局「くすりの福太郎」:朝日新聞デジタル
同紙では2面で薬剤服用歴管理指導料について解説、さらに社会面でも大きく扱っている。
本部から、監査に備えて薬歴を書くようにと指示があったことや、抜き打ち検査ができないルールであることを厚労省保険局医療課のコメントとして載せている。
忙しくて薬歴書きまで手が回らないという現場の声もあるが、薬歴を確認することでできる疑義照会もあるだろう。説明(指導)にも薬歴が必要ないということになれば、この管理料の存在意義は薄くなる。
とはいえ、薬剤師法に照らせば指導は必須のことである。
以前から医師はカルテを書いても管理料を算定できないのに、なぜ調剤報酬では認められているのか、という意見があった。
今回の報道は2016年度調剤報酬(診療報酬)改定論議にも一石を投じる事件になりそうな気がする。
薬歴を書く、服薬状況・残薬・後発品希望を確認する等々、ルールに沿った業務を行えないということは問題である。
大多数のきちんとやっている薬局、薬剤師が馬鹿を見ないようにして欲しいものだ。
厚労省が公募「企画競争(地域医療構想策定支援ツール作成業務)」
アイデアをお持ちの方は応募してみては?。
在宅3大薬剤師団体トップによる座談会
3月12日(木)19:45から。
視聴方法は以下。ID、パスワード無し。
介護報酬改定
2月6日(金)の介護給付費分科会で新単位数が出ましたね。
分科会資料では、薬剤師の居宅療養管理指導については以下の記載のみ。
単位数も変わらないということだが、調剤報酬に合わせて薬剤師1人1日5回までという条件がついたかどうかは、この資料からは判断できない。
どこかに書いてあるのだろうか・・・。
今後解釈通知などで示されるのだろうか??
(追記)
単位数のみならず、算定要件も変更なしのようですね。